地震について (注:気象庁発行 「地震を知る」から抜粋)

1、何故起きるか(地震の起こる仕組み)

  • (1)プレートテクトニクス
  • 地球表面を覆っているプレートが互いに近づいているプレート境界がある。そこでは一方のプレートがもう一方のプレートに沈み込んだり、 二つのプレートの衝突が起きたりする現象が起き、これが地震である。地震発生機構をプレートの動きによって説明する理論を プレートテクトニクスと呼んでいる 。(図1)(図2)
地球内部の組織図

【図1 地球内部の組織図】
地球は、表面から中心に向かって地殻、マントル、核の順に分布している。

プレート運動の概念図

【図2 プレート運動の概念図】
プレートは海嶺(または海膨)(a)で生産され左右に分離して移動する。プレートが衝突(c)すると海溝や山脈が形成される。 2つのプレートがすれ違う場合(b)はトランスフォーム断層と呼ばれる横ずれ断層となる。


  • (2)日本周辺のプレート
  • 日本周辺は太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレートなど複数のプレートに接している境界に位置している。 このため地震の発生数が多く地球の表面積に占める日本の国土面積の割合が1%にも満たないにも関わらず地球上で発生する地震のうち10%程度が日本周辺で 発生している。(図3)(図4)
プレート運動の概念図

【図3 日本周辺の主なプレート】
図中の矢印は、陸側のプレートに対する各プレートの 相対運動の方向を表す。日本海東縁部に沿ってプレート境界があるとする説(図中の破線)が出されている。

日本付近のプレートの相対速度

【図4 日本付近のプレートの相対速度】
黄色矢印で進行方向、矢印の長さで速度を表す。赤い楕円は、過去に発生した主な地震の震源域を示す。


  • (3) 地震を起こす力
  • プレート境界で二つのプレートが常に滑っていれば、プレートやその周辺ではプレートの変形(以下これを歪みと言う)が起こらないため、 地震の発生エネ ルギーが蓄積せず地震は発生しない。しかし、実際のプレート境界では、プレート同士がくっついているため(これを固着と言う)、 プレートやその周辺では歪みが蓄積し、これが限界まで変形すると、蓄積された歪みを解消するために急激に元に戻ろうとする。 これがプレート間で発生する地震である。プレート境界の固着域は通常くっついており、大地震時のプレート境界では数mのずれが急激に生じ、 数十年~数百年分のプレート運動によって蓄積した歪みを解消する。海洋プレートの沈み込みは、陸のプレートとの境界や、海洋プレートの内部で 地震を発生させるだけはなく、陸のプレートを絶えず押していることから陸のプレートでも歪が生じ、蓄積された歪が限界に達した時地震が 発生する。これが内陸の地震であり、日本ではおよそ深さ25kmより浅いところで発生している。

2、地震波と伝播速度

  • 地球は長い時間スケールで見るとプレート運動のように歪んでも元に戻らない性質を持っているが、短い時間スケールであれば弾性体と 見なせるので、断層運動によって急激なずれが起これば、その衝撃でP波(縦波)、S波(横波)、表面波が地球を伝わって行く。 これらを総称して地震波と呼んでいる。P波は進行方向と同じ向きに振動する縦波で、S波は進行方向に対して直行方向に振動する横波である。 表面波は、地表面のみを伝わって行く波で、振動方向は複雑で縦波のように揺れるものと横波のように揺れるものがある。これらの波の伝わる 速度は表面付近では、P波が5~6km/s、S波はP波のおよそ60~70%の速度で3~4km/s、表面波はS波よりやや遅い。

3、地震の規模(マグニチュード)

  • 地震が発生するエネルギーの大きさを表した指標値で、アメリカの地質学者チャールズ・F・リクターによって初めて定義された。 マグニチュードはエネルギーの対数をとったもので、マグニチュードが1増えるとエネルギーはおよそ32倍になる。
マグニチュードと地震のエネルギーの関係

【図5 マグニチュードと地震のエネルギーの関係】
球の体積のエネルギーを表している。Mが1大きくなると球の半径は約3.2倍大きくなる。


4、震度

  • 地下の断層運動によって生じた地震波が地表に到達し、地面が揺れることによって人々は地震を感じることになるが、 その人々が感じた揺れの程度を表わす値が震度である。震度は世界各国さまざまに定義されているが、1~12階級の改正メルカル 震度階級を使用しているところが多い。日本は10階級の「気象庁震度階級」という値が用いられている。
震度0
人は揺れを感じない
震度1
屋内の人の一部が、わずかな揺れを感じる
震度2
電灯などの吊り下げ物がわずかに揺れる
震度3
棚にある食器類が音を立てることがある
震度4
吊り下げ物は大きく揺れ、歩行者も揺れを感じる
震度5弱
棚の食器や本が落ち、窓ガラスが割れて落ちることもある
震度5強
非常な恐怖を感じ、棚の本などの大半が落ち、重い家具が倒れたりする
震度6弱
立っていることが困難、耐震性の低い住宅では倒壊するものもある
震度6強
立っていることができず、耐震性の低い住宅では倒壊するものが多い
震度7
耐震性の高い住宅でも傾いたり大きく倒壊するものがある

5、前震・本震・余震

  • 大きな地震に先駆けて起こる小さな地震群を前震、主役の大地震を本震、本震に引き続いて多発する小地震群を余震という。 前震を伴う地震は極めて少ないが、 その少ない事例の中では、前震は本震の震源付近に数日前~直前に発生することが多い。 大きな地震にいつも前震があれば地震を予知するのに大いに役立つが、 前震を伴う例はごく少なく、大部分の大地震は突然起こる。 また、前震があったとしても、小さい地震はいつでもどこかで発生しているので、その地震が前震で あるか否かを事前に判定することは難しい。 大きな地震が起こると、引き続いて多数の余震が続発する。震源の深い地震では余震数は少ないが、浅い地震では多い。大地震ほど余震の発生する 領域(余震域)は広くなり、その広がりや形は概ね本震の震源域と一致する。余震は本震直後に非常に多く発生するが、時間の経過と共に規則的に 減少していく。その関係式を、この性質を発見した地震学者の名をとって大森公式と呼んでいる(図6)。本震が起こった後に余震が発生する、 いわゆる本震―余震型の地震活動では、最大余震のマグニチュードは、平均してみると本震のマグニチュードより1小さい。また、最大余震は多くの 場合、内陸では本震から約3日以内に、海域では約10日以内に発生するという性質がある。ただし、それぞれの地震活動によってばらつきがあり、 注意が必要である。例えば、「平成16年(2004年)新潟県中越地震」(M6.8)の最大余震のMは6.5と0.3しか差がなく、また、平成17年8月の宮城県沖を 震源とする地震(M7.2)のように、3ヵ月以上たってから最大余震(M6.6)が発生している例もある。
地震活動の推移の例

【図6 地震活動の推移の例】
縦軸は地震数、横軸は時間。 2003年5月26日から始まった宮城沖の地震活動。


6、大規模地震の予知と対策

  • (1)東海地震
  • 東海地震とは、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で起こる海溝型巨大地震で、図7(左)に示す想定震源域で発生すると考えられている。 この地震が発生した場合、東海地域の広い地域で震度7から6弱の揺れになると考えられており、また東海地域沿岸にはところによって5~10mの 津波が襲うと予想され(図7(中))、この揺れや津波などにより建物全壊26万戸、死者約9,200人(予知がなかった場合)という推定がなされている (中央防災会議専門調査委員会)。大規模地震対策特別措置法に基づき、東海地震により激甚な被害が予想される地域が「地震防災対策強化地域」に 指定されている(図7(右))。同法では、気象庁長官は大規模な地震発生の恐れがあると認めるときは地震予知情報を内閣総理大臣に報告することが 定められており、気象庁ではこの責務を遂行するため、地震予知を目的とした監視を続けている。
東海地震発生時に予想される地震、津波及び地震防災対策強化地域

【図7 東海地震発生時に予想される地震、津波及び地震防災対策強化地域】
中央防災会議が想定した予想される震度(左)
予想される津波の高さ(中)
及び大規模地震対策特別措置法で指定している 地震防災対策強化地域(右)


  • (2)東南海・南海地震
  • 駿河湾から四国沖にかけての地域では、100年から150年くらいの間隔でM8クラスの大地震が繰り返し発生しており、最近では1944年に昭和の 東南海地震、1946年に昭和の南海地震が発生している。(図8)
駿河湾から四国沖で発生した巨大地震の震源域とその時空間図

【図8 駿河湾から四国沖で発生した巨大地震の震源域とその時空間図】
1600年以降に発生した海溝型巨大地震の発生場所を領域A~Eに分けて、時空間を示した。この領域では、ほぼ一定の時間間隔で海溝型巨大地震が 発生していることがわかる。<中央防災会議専門調査会資料を一部改変>


  • 東南海地震や南海地震は、東海地震と同様、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で起こる海溝型巨大地震であるが、今後30年以内に 次の東南海地震が発生する確率は60%程度、南海地震は50%程度と評価されている(図9)。
主な海溝型地震及び活断層で発生する地震の長期評価結果

【図9 主な海溝型地震及び活断層で発生する地震の長期評価結果(地震調査研究推進本部による)】


  • 過去の事例を踏まえると同時または時間的に近接して発生するかのいずれかである可能性が高く、後者の場合には、東南海地震、 南海地震の順番で発生する可能性が高いと考えられている。これらの地震が発生すると、静岡県から宮崎県にかけての広い地域で激しい 揺れになると考えられており、また、これらの地域の太平洋沿岸には大津波が襲うと予想される。これらの地震の防災対策推進を図るため、 2003年に「東南海・南海地震に係わる地震防災対策の推進に関する特別措置法」が施行された。この法律に基づき、東南海・南海地震が 発生した場合に著しい地震被害が 生じる恐れがある21都府県の652市町村(平成15年指定)が「東南海・南海地震防災対策推進地域」 に指定された。東南海・南海地震は東海地震とは異なり、地震予知業務を行う対象とはなっていない。この理由の一つは、東南海・南海地震の 想定震源域の大部分は海域であり、現在の技術では震源域の近傍に前兆現象をとらえるための測器を設置することが極めて困難なこと にある。

  • (3) 南関東地域直下地震
  • 南関東地域は、日本国内で最大の人口密集地域であるばかりでなく、政治、経済、行政機能が集中している首都が置かれ、その直下で 大規模な地震が発生した場合の人的・物的・経済的な被害は甚大で、経済的な影響は日本国内に留まらず全世界に及ぶものと推測されている。 このような社会環境の下で、南関東地域においては、M7程度の地震の発生が切迫していると懸念されていることから、中央防災会議は これまでの「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」を最近の知見を取り入れ見直し、2005年に、特に首都地域が抱える地震防災上の 課題を明確にした「首都直下地震対策大綱」として取りまとめ公表している。その背景となる地震発生の見通しは、以下の通りである。 南関東地域では、地震発生の原動力であるプレートの構成が複雑で、陸のプレートの下にフィリピン海プレートが南から沈み込み、 更にその下側に東から太平洋プレートが沈み込んでおり、それぞれのプレートで、プレート内の地震とプレート境界の地震が発生している。 フィリピン海プレートが相模トラフから首都圏に沈み込むことで、M8クラスのプレート境界型の地震が繰り返し発生しており、 1703年の元禄地震、1923年の関東地震が発生している。このタイプの地震の発生間隔は200~400年程度であり、現時点では、このタイプの 地震発生の切迫性は低いものと考えられている。一方、M7程度の地震は今後100年内に数個程度発生すると考えられており、今後 30年以内の 発生確率は70%と評価されている。(図10)
南関東で発生した地震

【図10 南関東で発生した地震(M6以上、1600年以降)】
内閣府中央防災会議首都直下地震対策専門調査会資料に加筆

東京で大地震がおきたら

東京で大地震が起きたら・・・
中央防災会議「首都直下地震対策専門調査会」(H15,9,12?)では以下のような
被害想定をしています。

  • 想定される被害の概要

  • 震源:東京湾北部
  • 規模:M7.3
  • 気象条件:冬・夕方18時 風速15m/s
  • 全壊家屋数・火災消失家屋数:約85万棟(瓦礫発生量 約9,600万t
  • 死者数:約11,000人
  • 負傷者数:約210,000人

(1)経済被害 約112兆円

  • 物的被害
     
  • 直接被害
    (復旧費用)
  • 66.6兆円
    (建物:55.2兆円 インフラ11.4兆円)
 

  • 人的被害
    首都の中枢機能障害
  • 間接被害
    (生産額の低下)
  • 39.0兆円
     
 

  • 交通ネットワーク
    機能障害
  • 間接被害
    (交通寸断による時間損失)
  • 6.2兆円
     

(2)帰宅困難者の発生

  • 昼12時までで約650万人

(3)避難者の発生

  • 最大約700万人
     
  • このうち避難所生活者最大約460万人
     

(4)ライフライン種別被害

  • 停電軒数
  • 断水人口
  • ガス供給停止軒
  • 普通電話回線数
  • 約160万軒
    (6日)
  • 約1,100万人
    (30日)
  • 約120万軒
    (55日)
  • 約110万回線
    (14日)

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